株式会社TGM代表の田上です。

私たちは今、会社として一つの大きな目標を掲げています。「東北No.1のファッションリユースカンパニーになる」

ここで言う「東北No.1」は、単純に売上や店舗数が最大の会社になるという意味ではありません。
東北に住む人が、東京まで行かなくても、ブランド品や洋服を実際に見比べ、専門知識のあるスタッフに相談し、納得して買ったり売ったりできる。その選択肢を東北各地に増やすことを目指しています。

そして、どこへ行っても同じ店を増やすのではなく、店舗ごとに得意分野と役割を持たせます。
クロムハーツのリングをモデルやサイズ違いで比べられる店。年代の違うアーカイブジャケットを実際に試着できる店。時計やバッグの状態を見比べ、査定や商品について相談できる店。
特定の商品や詳しいスタッフを目的に、お客様が店を使い分けられる状態をつくりたいと考えています。

また、商品を売買する場所を増やすだけでなく、査定、接客、商品撮影、EC運営など、東北でファッションを仕事にする選択肢も増やしていきたい。
私たちは、商品、店舗、人材のすべてが東北で育ち、循環している状態を含めて「東北No.1」と考えています。

もちろん、この構想を継続していくには、売上と利益が必要です。
次の出店には内装費も商品在庫も必要です。査定と接客を任せられるスタッフを採用し、育てるにも資金が要る。
数字は店頭から離れた話ではなく、すべて次の売場と人につながっています。

その実現方法として、現在TGMが事業の中核に置いているのが、「ブランドリユースセレクトショップ」です。ここからは、創業時の愛子店から現在の売場まで、私たちが実際につくってきた店と商品の話を交えながら、なぜこの形で東北No.1を目指すのかをご紹介します。

創業時の愛子店の写真に残る原点

2010年、仙台市青葉区愛子で「LIFE」を始めました。創業当時の写真を見返すと、現在の店舗のように商品カテゴリーごとに整えられた大きな売場ではありません。限られた店内に衣類や小物を並べ、一点ずつ商品を見て、値段を付け、店頭とインターネットで届ける。その積み重ねから始まった店でした。

当時から変わっていないのは、商品を表面的なブランド名だけで終わらせず、「何年頃のものか」「どこが他のモデルと違うのか」「どんな人に似合うのか」まで知りたくなる姿勢です。
私たちが言う「ファッションが好き」は、単なる気持ちではなく、調べ、比べ、伝える行動のことです。

事業を続ける中で、クロムハーツをはじめとするシルバーアクセサリー、ブランド古着、スニーカー、ストリート、アメカジ、アウトドア、ラグジュアリーブランド、時計へと取扱領域が広がりました。
店舗だけでなく、ECや宅配買取も増えました。商品が増えるほど、何でも同じように並べるのではなく、違いが伝わる売場と専門知識が必要になりました。

愛子店から店舗と取扱商品が増えた今、私が強く考えるようになったのは、「規模が大きくなっても、どの店も同じ総合リユース店にはしない」ということです。商品を集める力に加えて、店ごとに何を深く見せるのかを決める。
その答えとして定めたのが、「ブランドリユースセレクトショップ」というコア・フォーカスです。

TGMが掲げる「ブランドリユースセレクトショップ」とは

「ブランドリユースセレクトショップ」は、各店舗に明確なテーマを持たせ、そのテーマに合うブランド、年代、カテゴリーを選んで構成する店です。
選ぶのは商品だけではありません。
バッグと洋服の比率、アクセサリーを見せるガラスケース、ラックの間隔、照明、そして担当スタッフが説明できる専門領域まで含めて、一つの店を編集します。

例えば、クロムハーツやシルバーアクセサリーを扱うなら、明るいステンレス基調の売場で、リングやネックレスをモデル・サイズ・年代ごとに比べられるようにする。
ラグジュアリーを扱うなら、バッグの色や素材、使用感を落ち着いて確認できる見せ方にする。
アーカイブやブランド古着なら、年代の違う服を同じラックで見比べ、実際に袖を通せる店にする。

出店エリア、来店方法、店舗面積、周辺のお客様、店頭で比較してほしい商品を整理し、その店で深く扱う領域を決めます。
商品を各店へ均等に配るのではなく、「このリングはシルバーを目的に来るお客様が多い店へ」「このジャケットはアーカイブを説明できるスタッフがいる店へ」と配置まで考える。これが、私たちの考えるセレクトです。

ステンレス基調のシルバーアクセサリー売場など、4つのブランドリユースセレクトショップのコンセプト
ステンレス基調のシルバーアクセサリー、ラグジュアリー、現代的なアメカジ、デザイナーズの売場イメージ

なぜ「セレクト」することが重要なのか

リユースでは、商品を集める力が欠かせません。ただ、ガラスケースを商品で埋めるだけでは、店の強みは伝わりません。
同じブランドのリングでも、モチーフ、サイズ、製造時期、付属品、傷の入り方で、選ぶ理由も価格も変わります。
その違いを比較できる状態にすることが、「集める」の次に必要な仕事です。

店頭では、写真だけでは分からない重さを確かめたり、洋服を試着して肩の落ち方を見たり、二つの商品を横に並べて経年変化を比べたりできます。
そこでスタッフが「こちらは現行に近い仕様」「こちらは既に廃盤で、この部分のつくりが違う」と説明できれば、価格だけではない選び方が生まれます。

新品のように同じ商品を何十点も発注できないのが、リユースの難しさです。
入荷するのは一点ずつで、年代もサイズも状態も違います。だからこそ、その商品をどの店舗へ送り、何と隣り合わせて見せるかまで判断する必要があります。

シルバーはステンレスとガラスのケースで細部まで見せる。デニムやレザーは手に取りやすい間隔でラックに並べる。
時計やバッグは状態を比較しやすい照明にする。私たちが目指すのは、商品を置くだけではなく、違いが伝わるように売場を組み立てるリユースショップです。

各店舗を、同じ店にはしない

創業時の愛子店、中倉店、六丁の目店の写真を並べると、同じ「LIFE」でも店の見え方は違います。
愛子店の限られた売場から始まり、中倉店では衣類のラックや商品ケースを広く見渡せるようになり、六丁の目店では外から店の存在が伝わるつくりになりました。
出店する意味は、同じ内装と同じ商品構成を複製することではありません。

これから店舗を増やすうえで難しいのは、在庫の配分です。全店に同じ商品を均等に置けば運営は分かりやすい一方、店ごとの強みは薄くなります。
反対にテーマを尖らせすぎれば、棚に必要な商品が揃わないこともある。買取、EC、店舗在庫をつなぎ、入荷した一点をどこで最も生かせるか判断することが、現在の課題です。

目指しているのは、店舗網全体で一つのセレクトショップになる形です。シルバーを深く見る日はこの店、アーカイブを試着する日は別の店、バッグの状態を比べたい日はこの店と、目的によって回る場所が変わる。
各店の担当者が自分の得意分野を持つことで、店舗数が増えるほど比較できる商品と相談先が増える会社にしたいと考えています。

なぜ「全国No.1」ではなく「東北No.1」なのか

「No.1を目指すなら、全国No.1を目指せばいいのでは?」そう思う人もいるかもしれません。
でも、今の私たちがまず本気で目指したいのは「東北No.1」です。私たちは仙台で生まれ、仙台で育ってきた会社です。

東北で埋めたいのは、単なる店舗数の差ではありません。希少なリングを複数サイズで比べたい。
廃盤バッグの色と状態を実物で見たい。アーカイブのジャケットを試着したい。時計の重さや着け心地を確認したい。
こうした買い方をしようとすると、東京まで足を運ぶ場面がまだ多いと感じています。

ECによって全国の商品を買えるようになりましたが、写真では生地の厚さ、細かな傷、シルバーの重量感、洋服のサイズ感までは分かりません。
高額品ほど、実物を見て、比較し、詳しい人に質問してから決めたい。その選択肢を仙台と東北の店頭に増やすことが、私たちの役割です。

将来、県外のお客様が「このモデルを比べるなら仙台へ行こう」「この年代の服を相談するならLIFEへ行こう」と、商品やスタッフを目的に東北へ来てくださる。そこまで専門領域を深めて初めて、東北で事業を続けてきた意味が形になると思っています。

私たちにとっての「No.1」は、店舗数だけではない

これから出店を進めていくと話すと、「たくさん店を出して一番になる」というイメージを持つかもしれません。
しかし、私たちが考えている東北No.1は、店舗数だけではありません。もちろん、店舗数も売上も重要な指標です。
結果を出す以上、数字から逃げることはできません。

店舗数が多くても、査定理由を説明できず、比較したい商品が揃わず、スタッフへ相談するために再来店していただけない店では、私たちが目指すNo.1とは言えません。数字と同時に、商品、説明、再来店の理由を積み上げる必要があります。

お客様から一番信頼される

買取では、ブランド名と型番だけを見ればよいわけではありません。衣類ならサイズ、汚れ、補修、年代。時計なら動作、付属品、メンテナンス歴。アクセサリーなら重量、刻印、摩耗の状態まで確認します。同じモデル名でも、状態と背景が違えば査定は変わります。

そのうえで、なぜこの査定額なのかを説明する。ご希望の金額に届かない場合も、どの状態や付属品が評価に影響したのかを伝える。
思い出のある商品を預かる仕事だからこそ、金額だけで会話を終わらせない会社でありたいと思っています。

ファッションの専門性で一番になる

こうした説明と、次の売場への配置を判断できる人を増やす必要があります。
「この店にはこのブランドが足りない」「同じモデルを二つ並べれば違いが伝わる」「この服はECだけでなく試着できる店へ送る」と考えられるスタッフです。
専門性を、知識だけで終わらせず、査定、売場、接客へつなげることがTGMの競争力になります。

現行品と20年前のモデルを、同じ棚で比べられる

リユースの売場では、現行品と10年前、20年前の商品を同じ場所に並べられます。
既に廃盤になったアクセサリー、過去シーズンのデザイナーズ、使い込まれたレザー、現在の定番品を横に置き、つくりやシルエットの変化を見比べられるのは、新品だけを扱う店にはない特徴です。

例えば一つのブランドでも、年代の違うジャケットを並べれば、タグ、縫製、素材、シルエットの変化が見えてきます。
シルバーアクセサリーも、モチーフが似ていても大きさや厚み、使い込まれた表情は一点ずつ違います。
商品を通じて、そのブランドが積み重ねてきた時間まで見せられます。

私たちはリユースショップを、価格だけで中古品を探す場所にしたくありません。
店頭で実物を比べ、違いをスタッフに聞き、自分が納得した一点を選べる場所にしたい。そのために、店ごとの専門領域とセレクトが必要です。

AIが査定を助けても、最後は人が商品を選ぶ

相場検索、画像からの商品特定、過去の販売データを使った価格算出は、AIによってさらに速くなります。
私たちも、査定や在庫管理の効率化にAIを活用していきます。型番を探す時間が短くなれば、その分、商品の状態確認やお客様への説明に時間を使えます。

一方で、AIが候補を出しても、実物の生地を触り、補修跡を確認し、着たときのバランスを見るのは現場の仕事です。
二つの商品を並べて、お客様の服装や使い方を聞きながらどちらが合うか考えることも、価格表だけでは完結しません。

どの商品をどの店へ送るか、何と一緒に見せるか、初めて来た方にどこから説明するか。AIが仕事を助けるほど、スタッフには、商品知識を接客と売場へ変える力が求められます。

ブランドリユースセレクトショップは、テクノロジーと人を対立させる考え方ではありません。調査や管理はAIで速くし、比較、提案、売場づくりは人が深く行う。その役割分担によって、店舗の価値を高めたいと考えています。

「ファッションクレイジー」だからできる店をつくる

TGMで言う「ファッションクレイジー」は、服が好きだと話せるだけの人ではありません。
ジャケットが入荷したらタグ、縫製、ジッパー、素材を調べる。
アクセサリーならモチーフやサイズの違いを比べる。分からないことをそのままにせず、次に説明できる状態まで調べる人です。

ブランド古着を手に取り、お客様へ接客するファッション好きのスタッフ
ファッションを深く愛するスタッフが、商品の背景や魅力までお客様に伝える

その知識は、売場と接客で初めて価値になります。「この年代は肩のつくりが違う」「こちらは厚みがあるので着けた印象が変わる」と実物を示しながら伝える。お客様が迷っている理由を聞き、商品を一緒に比べる。そうした会話ができるスタッフを増やしたいと思っています。

仕組みやデータは必要です。売上、在庫、相場も見なければいけません。ただ最後に、「この店にはこの一点が必要だ」と決めるには、その商品を見続けてきた人の判断が要ります。会社が大きくなっても、数字と商品の両方を見て判断できる人がいる会社であり続けたいと考えています。

「三方良し」がなければ、No.1になる意味はない

TGMの経営理念は、「ファッションを通じて三方良しの世界を創る」です。この循環は、店頭の一つの商品から始まります。
お客様が使わなくなった時計やコートを預かり、状態と市場価値を確認し、査定理由を説明する。

買い取った商品は、状態を整え、撮影し、最も合う店舗やECへ出します。
そして次のお客様が実物を確認し、納得して使い始める。売る方、買う方、働く私たちの間で商品がもう一度動き、モノの寿命が延びます。

店舗が増えれば、査定、商品撮影、EC運営、在庫管理、接客など、ファッションを仕事にする役割も増えます。
希少な商品が東京へ流れるだけでなく、東北の店頭で比較でき、次の持ち主へ渡る流れを太くできます。

私たちが考える三方良しは、理念を掲げるだけでは完成しません。査定の説明が曖昧だったり、店のテーマに合う商品が揃っていなかったりすれば、循環は続かない。買取から販売までの一つひとつを丁寧に積み重ねることが、No.1を目指す前提です。

東北各地に「目的地になる店」をつくりたい

私たちがつくりたい「目的地になる店」は、遠くから来てほしいと宣言するだけの店ではありません。
そこへ行く理由になるだけの商品数、比較のしやすさ、説明できるスタッフが揃っている店です。

クロムハーツのリングを複数のモチーフやサイズで比べるために行く。廃盤バッグの色と状態を見比べるために行く。
アーカイブのジャケットを試着し、年代ごとの違いを聞くために行く。前に相談したスタッフへ、次の一点を相談するために行く。

そうした目的が一つでも明確な店を、東北に増やしていきます。同じ会社でも、深く扱うカテゴリーと得意なスタッフが違う。
お客様が店舗を使い分けられる状態が、私たちの考えるブランドリユースセレクトショップの完成形です。

商品を目的に来る方が増え、同じスタッフへ相談する方が増え、その結果として売上と店舗数が伸びる。私は、この順番で東北No.1になりたいと思っています。

東北のファッションをもっと面白くしたい

「東北のファッションをもっと面白くしたい」という言葉は、便利な反面、そのままでは抽象的です。
私が思い描いているのは、仙台の店頭で年代の違う服を試着でき、希少なアクセサリーを比較でき、査定理由を詳しいスタッフへ聞ける状態です。

働く側にとっては、東京へ移らなくても、アーカイブを調べる、時計を査定する、シルバーの売場をつくる、ECで全国へ販売するといった仕事を仙台で選べる状態です。店舗が増えることを、こうした具体的な選択肢の増加につなげたいと思っています。

創業時の愛子店から、私たちは一点ずつ商品を扱い、店とECを広げてきました。これからも、「ファッションを通じて三方良しの世界を創る」という理念と、「ブランドリユースセレクトショップ」という軸を持ち、商品、売場、人の順に力をつけて出店を続けます。

価値有る商品を見に来店するお客様が増える。同じスタッフへ相談するお客様が増える。東北でファッションを仕事にする人が増える。
その積み重ねの結果として、「ブランドリユースならTGM」と言ってもらえる会社になる。
それが、私たちが東北No.1のファッションリユースカンパニーを本気で目指す理由です。

株式会社TGM
代表取締役 田上